入居一時金とはどんな性質の金銭なのでしょうか。
施設との契約時には入居一時金を支払いますが、これにはなんの意味があるのか 正しく理解しておくと後からいらぬ心配をせずに済むでしょう。 入居一時金という名目で支払うか、保証金や敷金として支払うかの違いはありますが そこに住む権利を手に入れるための金銭と思っておけばなんとなく正解です。 老人ホームや介護施設では利用権方式、終身方式、賃貸借方式とありますが、 それぞれの違いを契約前にまずは正しく認識して下さい。 利用権方式はそこで居住する権利を買うことになり、この権利は本人が死亡するまで 永遠に持続しますが、本人以外に譲渡することは不可能となっています。 あくまでその方だけに与えられる永住権で、いかなる理由があっても親族や親しい 友人、奥さんや旦那さんに渡ることはありません。 この利用権は本人が亡くなった時点でなくなり、場合によっては入居一時金が いくらか戻ってくるケースもありますがない場合もあります。 賃貸借方式も似ていますが一般的なアパートの賃貸借契約とほとんど同じで、 本人が亡くなっても夫婦で暮らしていたのなら同居人はそのままそこで生活する ことは認められているので、そこは利用権方式と異なります。 規約に反したりしない限り入居者、借主の権利は守られますので、長くそこで暮らす ことが可能ですし、体調が悪くなったり要介護度が悪化しても出て行けと言われる こともありません、そこは安心できますね。 ただし賃貸借方式では1年や2年ごとに契約更新をしますので、そこでなんらかの 条件の変更がされることはあるかもしれません。 また更新料としてそこで費用が発生することもあります。 その更新が無いのが終身賃貸借方式で、これは賃貸借方式とほぼ同じですが最初の 契約がずっと持続する特殊な方式となります。 契約更新で内容が見直されることもありませんし、一旦結ばれた契約が終身で有効 となる、借り手に優しい方式です。 更新されることがないので更新料も不用、入居一時金と毎月の家賃などの費用を 支払うだけで以降は特に出費はないでしょう。 契約更新で家賃が値上がることも無く、先の事まで計算できるというメリット もありますが、逆に言えば家賃の値下げなど嬉しい誤算もなくなりそうです。 この契約ですと夫婦で入居していた場合、契約者が亡くなったときにどうなるかは 全国共通で定められてはいません。 施設ごと、契約ごとに異なるのでどんな内容になっているのか自分の目で確認して 問題が無いかよく考えるようにしましょう。 もしも終身契約で夫婦のどちらかが生存している限り持続する内容ですと、 仮に旦那さんが亡くなって奥さんだけとなった場合、若い男性と再婚したらその 契約内容がしばらく続くことになってしまいます。 奥さんにはあまり寿命が残されていなくても、新たな若い旦那さんはまだまだ 長生きすると思われるからです。 そして奥さんがお亡くなりになったらその男性はもっと若い女性と再婚して、 を繰り返すと当初結ばれた契約内容を半永久的に有効とすることに成功しますし、 それを可能とするのは施設側にとってリスクが大きいのです。 なので終身賃貸借方式では夫婦といえど契約者が亡くなった時点で区切りとする 契約になっていることもあるのです。 以上が老人ホームなどでの入居一時金と引き換えに手に入る居住権についてですが、 細かな内容は契約書を読んで確認するに越したことはありません。 特に本人が亡くなられた場合にどうなるのかに注意して、契約書には隅々まで 目を通して納得してからハンコを押しましょう。